【JavaScript】オブジェクトの抽象比較の結果と仕組み
更新日:2024/02/19
JavaScriptは、<、<=、>、>=での比較を抽象比較と呼んでいます。
オブジェクトを抽象比較の対象とすることができますが、どのような結果になるのか資料があまりありません。
そこで、今回はオブジェクトの抽象比較の結果と仕組みについて解説します。
オブジェクトの抽象比較の結果
抽象比較を行う前にオブジェクトは、数値や文字列などのプリミティブに変換されます。
変換結果は、デフォルトでは次のようになります。
"[object Object]"
つまり次の比較は、
({}) < 1
次のように置き換えられ、
"[object Object]" < 1
数値文字列以外の文字と数値との比較は、大小関係なく false になります。
オブジェクトとオブジェクトの比較なら、次のような流れで比較されます。
①({}) < ({}) → "[object Object]" < "[object Object]" → false
②({}) <= ({}) → "[object Object]" <= "[object Object]" → true
オブジェクトのプリミティブ化の仕組み
オブジェクトのプリミティブ化は、次のメソッドを順番に存在するかどうか確認して、存在するなら実行します。
実行結果がオブジェクト以外なら、その値が変換後のプリミティブとなります。
- [Symbol.toPrimitive]("number")
- valueOf()
- toString()
デフォルトのオブジェクトは1.の[Symbol.toPrimitive]が存在しないので、実行されません。
2.のvalueOf()は、自分自身、つまりオブジェクトを返すので、プリミティブではありません。
3.のtoString()は"[object Object]"を返すので、この文字列が変換結果となります。
オブジェクトの抽象比較のカスタマイズ
オブジェクトの抽象比較結果は、仕組みで挙げたメソッドを追加することでカスタマイズできます。
今回は、[Symbol.toPrimitive]メソッドを追加してみます。
const obj = {
num : 1000,
[Symbol.toPrimitive]:function(hint){
switch ( hint ){
case "number": return this.num;
case "string": return this.toString();
default: return this.num;
}
}
};
console.log( obj > 1 ); // true
これで数値による比較ができるようになりました。
任意の文字列で比較するときは、case "number":で文字列を返します。
比較対象が文字列だからといって、case "string":の方を評価することは無いので注意が必要です。
更新日:2024/02/19
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