オブジェクト関数・メソッド

【JavaScript】 関数内で使用できるargumentsオブジェクトってなんだ?

更新日:2020/02/29

 

argumentsオブジェクトとは

調べてみるとargumentsオブジェクトは、引数を格納したオブジェクトでした。

argumentsを確認してみる

function a(){
            console.log( arguments );
}
a( 2 , 3 , 4 , 5 );

上のコードを実行すると、コンソールにargumentsの内容が表示されます。

Arguments(4) {
    0: 2
    1: 3
    2: 4
    3: 5
    length: 4
    callee: ƒ a()
    Symbol(Symbol.iterator): ƒ values()
    __proto__: Object
}

数値プロパティ

キー1から3までに、呼び出し時に指定した4つの引数がセットされています。

argumentsオブジェクトにforEach()は使えません。

for(let i = 0; i < arguments.length ; i ++){ }

for( let val of arguments){ }

で列挙しましょう。

lengthプロパティ

lengthは、引数の数です。

calleeプロパティ

calleeは、今実行している関数です。
関数aを次のように変更して、arguments.calleeを呼び出してみます。

arguments.calleeを呼び出してみる

function a(){
    console.log( arguments );
    if( arguments[0] === 2) arguments.callee( "a" , "b" );
}

最初 if( arguments[0] === 2) を入れてなくて、無限ループしてたいへんなことになりました(汗

arguments.calleeで呼び出した結果、次の内容がコンソールに表示されました。

Arguments {
    ​0:  "a"
​    1:  "b"
​    length: 2
    ​callee: ƒ a()
    Symbol(Symbol.iterator): ƒ values()
    __proto__: Object
}

関数aが呼び出されていますね。

ただしstrictモードではarguments.calleeを使用できないので、普段からこのメソッドは使用しないほうがよさそうです。

Symbol(Symbol.iterator)プロパティ

引数を列挙できるイテレータを作成するメソッドです。
次のように for-of で使用します。

argumentsオブジェクトのSymbol.iteratorを使用

for(let v of arguments[Symbol.iterator]( ) ){
    console.log(v);
}

ただしargumentsオブジェクト自身がイテラブルなオブジェクトなので、次のように記述できます。

argumentsオブジェクトのSymbol.iteratorを使用

for(let v of arguments ){
    console.log(v);
}

参考:【JavaScript】 Iterator(イテレーター)とは?避けて通りたいけど説明してみる

 

argumentsオブジェクトはアロー関数では使用できない

アロー関数はargumentsオブジェクトを作成しません。
そのため、次のコードはエラーになります。

アロー関数とargumentsオブジェクト

let  a = (  ) =>
             console.log(arguments); // ReferenceError: arguments is not defined
a(  1 , 4 );

argumentsオブジェクトは可変長の引数に利用することが多いです。
この場合は、レスト構文で代用可能です。

argumentsオブジェクトのかわりにレスト構文使用

let  a = ( ...b ) =>
             console.log( b ); // Array [ 1, 4 ]

a(  1 , 4 );

参考:【JavaScript】 アロー関数は何者!?かっこいいだけじゃない!
参考:【JavaScript】 コード中の「...」は意味があった

 

配列渡しとレスト構文でのargumentsオブジェクト

関数に配列を渡すと、argumentsオブジェクトに一つの要素としてセットされます。

function a( b ){
    console.log(arguments); // Arguments{ 0 : Array[ 1 , 4 ], length:1 ・・・
    console.log( b ); // Array[ 1 , 4 ]
}
a( [ 1 , 4 ]);

レスト構文で受け取ると、それぞれの値がargumentsオブジェクトにセットされます。

function a( ...b ){
    console.log(arguments); // Arguments{ 0 :1, 1 : 4 , length:1 ・・・
    console.log( b ); // Array[ 1 , 4 ]
}
a( 1 , 4 );

引数bとして受け取る値は、同じ配列です。
argumentsには、呼び出し時の引数の位置そのままでセットされるようですね。

argumentsで引数の型などをチェックするときは、注意が必要かもしれませんね。

と思ったら...

スプレッド構文で値を受け取ると、それぞれの値がargumentsオブジェクトにセットされます。

function a( b,c ){
    console.log(arguments); // Arguments{ 0 :1, 1 : 4 , length:1 ・・・
}
a( ...[1,4] );

arguments[ 0 ] は [ 1 ,4 ] にはならないようです。
難しいですね。

参考:【JavaScript】 コード中の「...」は意味があった

 

引数とargumentsオブジェクトの関係

引数として得た変数と、argumentsオブジェクトの値は状況によって参照であったり、別々の値だったりします。
非常に煩雑ですので、状況を整理しておきます。

strictは別値

strictモードでは、引数とargumentsオブジェクトの値は各々別のものを参照します。

"use strict";
function a( b ){
    arguments[0] = 20;
    console.log( b );  // 2
}
a(2);

どちらかの値を変更しても、もう一方に影響しません。

非strictは基本的に同じ値

非strictモードでは、引数とargumentsオブジェクトの値は同じものを参照します。

//  "use strict";
function a( b ){
    arguments[0] = 20;
    console.log( b );  // 20
}
a(2);

一方を変更すると、他方も同じ値になります。

非strictでデフォルト値が含まれると別値

非strictモードでもデフォルト値が指定されると、引数とargumentsオブジェクトの値は別のものを参照します。

function a( a = 10 , b ){
    arguments[ 0 ] = 20;
    arguments[ 1 ] = 30;
    console.log( a );  // Array [ 2 , 3 ]
}
a(2,3);

一方を変更しても、他方に影響しません。

非strictでレスト構文が含まれると別値

非strictモードでもレスト構文(レストパラメータ)が指定されると、引数とargumentsオブジェクトの値は別のものを参照します。

function a( a = 10 , b ){
    arguments[ 0 ] = 20;
    arguments[ 1 ] = 30;
    console.log( a );  // Array [ 2 , 3 ]
}
a(2,3);

こちらもデフォルト値と同様に、一方を変更しても他方に影響しません。

非strictでスプレッド構文は同値

非strictモードでスプレッド構文で引数を受け取ったときは、引数とargumentsオブジェクトの値は同じものを参照します。

function a( b , c ){
    arguments[ 0 ] = 20;
    arguments[ 1 ] = 30;
    console.log( b, c );  // 20 30 
}
a( ...[ 2 , 3 ]);

非strictで分割代入が含まれると別値

非strictモードで分割代入とかすると、引数とargumentsオブジェクトの値は別のものを参照します。

function a( [ b ,c ] ){
    arguments[ 0 ] = 20;
    arguments[ 1 ] = 30;
    console.log( b, c );  // 2 3 
}
a( [ 2 , 3 ]);

引数で分割代入はあまり使わなそうですが…

こちらもデフォルト値と同様に、一方を変更しても他方に影響しません。

 

argumentsの使いどころ

関数を定義するとき、引数の名前を考えなくていいのでargumentsオブジェクトは便利ですが...
コードの可読性が落ちるので、引数を指定するべきです。

引数の数が状況によって変わるなら、argumentsオブジェクトを使えそうです。
しかしレスト構文を使用したほうがスッキリすることが多いです。

例えば次のように記述できます。

可変長引数をレスト構文で実現

function a( type , ...param ){

    switch( type ){
        case 1:
                 // param[]から3つ参照
                    break;
        case 2:
                    // param[]から5つ参照
                    break;
    }
}

argumentsオブジェクトを使用する機会は、今のところなさそうです。

 

まとめ

argumentsオブジェクトはstrictモードかどうかで動作が変わったり、アロー関数で使用できないなど、注意する点が多いようです。

あまり使用しないほうがよさそうですね。

これまでの解説が無駄になったかも…

更新日:2020/02/29

書いた人(管理人):けーちゃん

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