【JavaScript】配列内容を比較して同一判定および差分を得る方法
更新日:2024/02/27
JavaScriptで配列を比較演算子で比較すると、同じインスタンスを共用しているかどうかを判定します。
そのため内容が同じかどうかの比較ができません。
また内容比較用の関数が用意されていません。
そこで、JavaScriptで二つの配列の内容が同じかを判定する関数と、内容の差分を取得する関数を作成したので紹介します。
===での配列比較
配列の内容が同じかどうかを比較する場合、比較演算子(===または==)を使用できません。
比較演算子は内容ではなくて、同じインスタンスを共有(参照)しているかどうかを判定します。
const array1 = [1,2,3];
const array2 = [1,2,3];
// 内容が同じ配列を比較
console.log( array1 === array2 );
>> false; // 異なる値と判定された
const array3 = array1;
array3[0] = 100;
console.log( array[0] );
>> 100 // array1 と array3は同じ配列を共有
console.log( array1 === array3 );
>> true; // 同じ値と判定された
値の順番と内容の同一チェック
配列内の要素の順番(インデックス)と内容が一致するかどうかを判定する方法を二つ紹介します。
JSON.stringify()版
二つの配列のインデックスと内容が同じかどうかの判定は、JSON.stringify()で文字列化してものを比較する処理が一番簡単です。
今回は次のような関数を作成しました。
JSON.stringify()版
// 二つの配列の内容が同じかどうかの判定関数
const isSameArray = (array1,array2)=>{
if( !Array.isArray(array1) || !Array.isArray(array2)
|| array1.length !== array2.length ) return false;
if( array1.length === 0 ) return true;
return JSON.stringify(array1) === JSON.stringify(array2);
}
// 作成した関数の動作確認
console.log( isSameArray( [1,2,3] , [1,2,3] ) );
>> true
console.log( isSameArray( [1,2,3] , [1,2] ) );
>> false
// 多次元配列で確認
console.log( isSameArray( [1,2,[3,[4]]], [1,2,[3,[4]]]) );
>> true
console.log( isSameArray( [1,2,[3,[4]]] , [1,2,[3,4]]) );
>> false
JSON.stringify()は多次元配列も文字列化してくれるので、気にせず比較できます。
文字列に変換して比較とか効率的にどうなの?と以前は思っていましたが、頻繁に呼び出すのでなければ、それほど気にする必要がないと今は思っています。
JSON.stringify()版の問題点
ただし、JSON.stringify()はundefined値をnullとして出力します。
これは値だけでなく、インデックスが存在しないときも適用されます。
そのため、内容が異なる配列比較で同一判定されることがあります。
JSON.stringify()版の問題点
const array = [ , undefined ];
console.log( array );
>> Array [ // ↓ インデックス0が存在しない
1: undefined
length:2
]
console.log( JSON.stringify( array ) );
>> "[null,null]" ← undefinedがnullになる!
const array1 = [1,2,3];
delete array1[1];
const array2 = [1,null,3];
// array1とarray2が同じ文字列に変換される
console.log( JSON.stringify( array1 ) );
>> "[1,null,3]"
console.log( JSON.stringify( array2 ) );
>> "[1,null,3]"
配列要素が削除される可能性があったり、nullとundefinedを異なる値として比較するときは、JSON.stringify()を使用できません。
ちなみに、JSON.stringify()はオブジェクトにも対応しています。
しかし文字列プロパティについては作成順に出力されるため、内容が同じでも出力結果が異なる可能性があります。
JSON.stringify()と文字列プロパティ
console.log( JSON.stringify( { a:1 , b:1 }) );
>> '{"a":1,"b":1}'
console.log( JSON.stringify( { b:1 , a:1 }) );
>> '{"b":1,"a":1}'
JSON.stringify()での同一判定は、オブジェクトを含んでいると誤判定の原因になります。
ループ比較版
配列要素が削除される可能性があったり、nullとundefinedを異なる値として比較するときは各値を一つずつ比較します。
ループ比較版
// 二つの配列の内容が同じかどうかの判定関数 その2
const isSameArray = (array1,array2)=>{
if( !Array.isArray(array1) || !Array.isArray(array2)
|| array1.length !== array2.length ) return false;
const length = array1.length;
if( length === 0 ) return true;
for( let count = 0 ; count < length ; count++){
const a1 = array1[count], a2 = array2[count];
if( !array1.hasOwnProperty(count) ){ // インデックスが存在しない
if( array2.hasOwnProperty(count) ) return false; // 他方にインデックスがある
continue;
}
if( !array2.hasOwnProperty(count) ){ // インデックスが存在しない
if( array1.hasOwnProperty(count) ) return false; // 他方にインデックスがある
continue;
}
// 両方の値が配列なら再帰
if( Array.isArray(a1) && Array.isArray(a2) ){
if( !isSameArray( a1 , a2 ) ) return false;
continue;
}
if( a1 !== a2 ) return false;
}
return true;
}
// 作成した関数の動作確認
console.log( isSameArray( [1,undefined,3], [1,null,3]) ) ;
>> false
// 多次元配列で確認
console.log( isSameArray( [1,2,[3,[4]]], [1,2,[3,[4]]]) );
>> true
// インデックス削除配列の確認
const a = [1,2,3], b = [1,2,3];
delete a[1];
console.log( isSameArray( a, b ));
>> false
配列は、deleteなどでインデックスされている可能性があります。
forEach()系のメソッドは存在しないインデックスをスキップするので、for文でループしています。
ループ比較版の問題点
問題点と言うより、注意点ですね。
要素内のオブジェクトは、同じオブジェクトを共有している場合に同値とみなされます。
内容が同じでも、個別に生成されたオブジェクトは同値ではありません。
const obj1 = {value:1};
const obj2 = obj1; // 代入操作は同じオブジェクトを共有
console.log( obj1 === obj2 );
>> true // obj1とobj2は同値
const obj3 = {value:1}; // 内容が同じオブジェクトを生成
console.log( obj1 === obj3 );
>> false // obj1とobj3は異なる値
また、循環参照に対応していません。
再帰が無限ループしてエラーになることがあります。
const a = [];
a.push(a);
console.log( isSameArray([a],[a] ));
>> RangeError: Maximum call stack size exceeded
順番関係なしで内容の同一チェック
二つの配列をインデックスの順番を考慮しないで、内容が同一かどうかチェックします。
方法は、一方の配列(1)をループさせて、もう一方の配列(2)から同一要素を検索します。
同一要素がなければ、配列の内容が不一致として終了します。
同一要素があったら、配列(2)からその要素を削除して配列(1)の次のループを処理します。
配列(1)ループが終了した時点で、配列(2)の要素が0なら配列の内容が一致していると判定できます。
// 配列内容の同一チェック(順番関係なし)
const isSameArrayIgnoreOrder = (array1,array2)=>{
if( !Array.isArray(array1) || !Array.isArray(array2)
|| array1.length !== array2.length ) return false;
const length = array1.length;
if( length === 0 ) return true;
// array2をシャロ―コピー
const a2 = Object.assign([],array2);
const result = array1.every(
value=>{
let sameIndex = -1;
if( Array.isArray(value) ){ // 値が配列
// a2から同一の配列を検索
sameIndex = a2.findIndex(
a2Value =>!Array.isArray(a2Value) ? false
: isSameArrayIgnoreOrder( value , a2Value)
);
} else sameIndex = a2.indexOf(value);
if( sameIndex < 0 ) return false; // 同値なし⇒チェック終了
delete a2[sameIndex]; // a2から同値を削除
return true; // 次の値チェックへ
});
// resultがtrueでa2に値が残っていないなら同一の配列
return result && a2.every( ()=>false );
}
console.log( isSameArrayIgnoreOrder( [1,2,3] , [2,3,1] ) );
>> true
console.log( isSameArrayIgnoreOrder( [1,2,3] , [2,1,2] ) );
>> false
console.log( isSameArrayIgnoreOrder( [3,3,3] , [3,3,3] ) );
>> true
console.log( isSameArrayIgnoreOrder( [undefined,3,1], [1,null,3]) ) ;
>> false
console.log( isSameArrayIgnoreOrder( [1,3,], [1,null,3]) ) ;
>> false
console.log( isSameArrayIgnoreOrder( [1,2,[3,[4]]], [[3,[4]],1,2]) );
>> true
console.log( isSameArrayIgnoreOrder( [1,2,[3,[4]]], [1,[3,4]],2) );
>> false
everyメソッドは、全てのコールバックがtrueを返すと、結果がtrueになります。
コールバックは同値の時にtrueを返しているので、everyの結果がtrueなら、全ての値が同値ということになります。
ただしeveryはforEach系のメソッドなので、配列のインデックスが飛んでいるときコールバック呼び出しがスキップされます。
このときeveryの結果がtrueでも、シャロ―コピーした配列内に値が残っている可能性があります。
例えば次のような二つの配列なら、配列2の要素が一つ残ります。 配列1: [1, ,3] // インデックス1が存在しない 配列2: [1,2,3] // 2が残る
そこで、最後のリターンでシャロ―コピーした配列内に値が残っていないかチェックしています。
なおこのコードは速度改善の余地があります。
シャロ―コピーした配列の要素を配列とそれ以外に分けて、分けた配列要素をfindIndexの対象にします。
そうすることで、ループの回数を減らすことができます。
差分を求める
二つの配列の差分を求めるコードを紹介します。
なお、ここで紹介したコードはループ比較版の問題点と同じ問題点があります。
多次元配列と重複を考慮しない場合
最初に、多次元配列と重複を考慮しないときの差分を求める関数コードです。
filterメソッドを使用して差分を求めます。
// array1からarray2の値と一致しない値を配列で取得する
const arrayDiff = (array1,array2)=>{
if( !Array.isArray(array1) || !Array.isArray(array2) ) return false;
return array1.filter( value=>array2.indexOf(value) < 0 );
}
console.log( arrayDiff( [1,2,3,4,5] , [2,4] ) );
>> [ 1, 3, 5 ]
次のコードは、差分をインデックスで取得します。
こちらはreduceメソッドを使用します。
// array1からarray2の値と一致しない値のインデックスを配列で取得する
const arrayDiffIndex = (array1,array2)=>{
if( !Array.isArray(array1) || !Array.isArray(array2) ) return false;
return array1.reduce( (result,value,index)=>{
if( array2.indexOf(value) < 0 ) result.push(index);
return result;
},[]);
}
console.log( arrayDiffIndex( [1,2,3,4,5] , [2,4] ) );
>> [ 0, 2, 4 ]
多次元配列と重複を考慮する場合
多次元配列と重複を考慮する場合はfilterメソッドのコールバック処理に、順番関係なしで内容の同一チェックのeveryメソッドと同じ流れで処理します。
// array1からarray2の値と一致しない値を配列で取得する
// (多次元配列と重複を考慮)
const arrayDiff2 = (array1,array2)=>{
if( !Array.isArray(array1) || !Array.isArray(array2) ) return false;
const a2 = Object.assign( [] , array2 );
return array1.filter( value=>{
let sameIndex = -1;
if( Array.isArray(value) ){ // 値が配列
// a2から同一の配列を検索
sameIndex = a2.findIndex(
a2Value =>!Array.isArray(a2Value) ? false
: isSameArrayIgnoreOrder( value , a2Value)
);
} else sameIndex = a2.indexOf(value);
if( sameIndex < 0 ) return true; // 同値なし ⇒ filter対象
delete a2[ sameIndex ]; // a2から同値を削除
return false; // 同値あり ⇒ filter非対象
});
}
console.log( arrayDiff2( [1,2,2,3,4,5] , [2,4] ) );
>> [ 1, 2, 3, 5 ]
console.log( arrayDiff2( [1,2,[1,2],[1,2,3]] , [2,4,[1,2]] ) );
>> [ 1, [ 1, 2, 3 ] ]
isSameArrayIgnoreOrder()は、順番関係なしで内容の同一チェックで紹介している関数です。
差分をインデックスで取得するときは、上記コードをreduceメソッドに置き換えます。
// array1からarray2の値と一致しない値のインデックスを配列で取得する
// (多次元配列と重複を考慮)
const arrayDiff2Index = (array1,array2)=>{
if( !Array.isArray(array1) || !Array.isArray(array2) ) return false;
const a2 = Object.assign( [] , array2 );
return array1.reduce( (result,value,index)=>{
let sameIndex = -1;
if( Array.isArray(value) ){ // 値が配列
// a2から同一の配列を検索
sameIndex = a2.findIndex(
a2Value =>!Array.isArray(a2Value) ? false
: isSameArrayIgnoreOrder( value , a2Value)
);
} else sameIndex = a2.indexOf(value);
if( sameIndex < 0 ) result.push( index );
else delete a2[ sameIndex ];
return result;
},[]);
}
console.log( arrayDiff2Index( [1,2,2,3,4,5] , [2,4] ) );
>> [ 0, 2, 3, 5 ]
console.log( arrayDiff2Index( [1,2,[1,2],[1,2,3]] , [2,4,[1,2]] ) );
>> [ 0, 3 ]
差分と共通値を取得する
二つの配列の差分と共通値を取得する関数コードです。
結果はオブジェクトで返しています。
// array1とarray2の共通値とそれぞれの差分を取得する
// return: { diff1: array1の差分,common:共通値 , diff2: array2の差分}
const arrayDiff3 = (array1,array2)=>{
if( !Array.isArray(array1) || !Array.isArray(array2) ) return false;
const a2 = Object.assign( [] , array2 );
const result = array1.reduce( (result,value)=>{
let sameIndex = -1;
if( Array.isArray(value) ){ // 値が配列
// a2から同一の配列を検索
sameIndex = a2.findIndex(
a2Value =>!Array.isArray(a2Value) ? false
: isSameArrayIgnoreOrder( value , a2Value)
);
} else sameIndex = a2.indexOf(value);
if( sameIndex < 0 ) result.diff1.push( value );
else {
result.common.push( value );
delete a2[ sameIndex ];
}
return result;
},{diff1:[],common:[]});
result.diff2 = a2.filter( e=>true );
return result;
}
console.log( arrayDiff3( [1,2,2,3,4,5] , [2,4] ) );
>> { diff1: [ 1, 2, 3, 5 ], common: [ 2, 4 ] , diff2: []}
console.log( arrayDiff3( [1,2,[1,2],[1,2,3]] , [2,4,[1,2]] ) );
>> { diff1: [ 1, [ 1, 2, 3 ] ], common: [ 2, [ 1, 2 ] ] , diff2: [ 4 ] }
インデックスを返すコードは、次のようになります。
上記コードとほぼ同じです。
// array1とarray2の共通値とそれぞれの差分をインデックスで取得する
// return: { diff1: array1の差分インデックス,common:共通値インデックス(array1基準)
// , diff2: array2の差分インデックス}
const arrayDiff3Index = (array1,array2)=>{
if( !Array.isArray(array1) || !Array.isArray(array2) ) return false;
const a2 = Object.assign( [] , array2 );
const result = array1.reduce( (result,value,index)=>{
let sameIndex = -1;
if( Array.isArray(value) ){ // 値が配列
// a2から同一の配列を検索
sameIndex = a2.findIndex(
a2Value =>!Array.isArray(a2Value) ? false
: isSameArrayIgnoreOrder( value , a2Value)
);
} else sameIndex = a2.indexOf(value);
if( sameIndex < 0 ) result.diff1.push( index );
else {
result.common.push( index );
delete a2[sameIndex];
}
return result;
},{diff1:[],common:[]});
result.diff2 = a2.map( (e,index)=>index ).filter(e=>true);
return result;
}
console.log( arrayDiff3Index( [1,2,2,3,4,5] , [2,4] ) );
>> { diff1: [ 0, 2, 3, 5 ], common: [ 1, 4 ], diff2: [] }
console.log( arrayDiff3Index( [1,2,[1,2],[1,2,3]] , [2,4,[1,2]] ) );
>> { diff1: [ 0, 3 ], common: [ 1, 2 ], diff2: [ 1 ] }
更新日:2024/02/27
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