【JavaScript】structuredClone()でオブジェクトのディープコピーをする方法
更新日:2023/10/05
JavaScriptでオブジェクトをディープコピーをするとき、structuredClone()を使用すると簡単にコピーできます。
こんなに便利なのがあったなんて!と驚いたので紹介します。
2023/10 内容を整理しました
structuredClone()の使い方
まずはstructuredClone()の構文を確認してみます。
structuredClone()の構文
structuredClone(value , transfer )
- value : コーピー元のオブジェクト
- transfer : 省略可能。後述
引数にオブジェクトを指定すると、ディープコピーされたオブジェクトが返されます。
structuredClone()の使用例
const originalObj = {
value1 : 100,
obj1: {
value2:"abc",
}
};
// ディープコピー
const copyObj = structuredClone(originalObj);
// オリジナルの値を変更
originalObj.obj1.value2 = 1000;
console.log( originalObj );
// 結果: { value1: 100, obj1: { value2: 1000 } }
console.log( copyObj );
// 結果: { value1: 100, obj1: { value2: 'abc' } }
上のコードはstructuredClone()でコピー後にオリジナルの値を変更しています。
コピー後のオブジェクトはその影響を受けていないので、ディープコピーされているのがわかります。
Object.assign()でのシャローコピーとの差異を確認してみます。
// シャローコピー
const copyObj = Object.assign(originalObj);
originalObj.obj1.value2 = 1000;
console.log( originalObj );
// 結果: { value1: 100, obj1: { value2: 1000 } }
console.log( copyObj );
// 結果: { value1: 100, obj1: { value2: 1000 } }
コピー後のオブジェクトが、オリジナルオブジェクトの変更の影響を受けています。
originalObj.obj1 と copyObj.obj1 は同じものを共有している、つまりコピーできていないということがわかります。
配列のディープコピー
配列もディープコピーしてくれます。
const originalObj = {
value1 : 100,
obj1: {
array:[1,2,3],
}
};
const copyObj = structuredClone(originalObj);
originalObj.obj1.array[0]=1000;
console.log( originalObj );
// { value1: 100, obj1: { array: [ 1000, 2, 3 ] } }
console.log( copyObj );
// { value1: 100, obj1: { array: [ 1, 2, 3 ] } }
上のコードはオリジナルの値を変更していますが、コピー後の配列には影響していません。
つまりディープコピーされています。
ArrayBufferのディープコピー
ArrayBufferもディープコピーしてくれます。
const originalObj = {
value1 : 100,
obj1: {
u8Array:new Uint8Array([1,2,3]),
}
};
const copyObj = structuredClone(originalObj);
originalObj.obj1.array[0]=1000;
console.log( originalObj );
// { value1: 100, obj1: { u8Array: Uint8Array(3) [ 232, 2, 3 ] } }
console.log( copyObj );
// { value1: 100, obj1: { u8Array: Uint8Array(3) [ 1, 2, 3 ] } }
上のコードはUint8Arrayの値を変更していますが、他方の配列に影響していませんね。
なお1000を代入したのに値が232なのは、16進数で3E8の下1バイトのみがセットされたからです。
Map,Set,Errorのディープコピー
組み込みオブジェクトのMap、Set、Errorもコピー対象です。
const map = new Map( [ [1,"a"] ]);
const set = new Set( [1] );
const error = new Error( "error!" );
const originalObj = { 1:map , 2:set , 3:error };
const copyObj = structuredClone(originalObj);
// コピー後のオブジェクトを変更
copyObj[1].set( 2 , "b" );
copyObj[2].add( 2 );
copyObj[3].stack ="no error!";
console.log( originalObj );
// 結果: {1: Map { 1 → "a" }, 2: Set [ 1 ], 3: Error: error! }
console.log( copyObj );
// 結果: {1: Map { 1 → "a", 2 → "b" }, 2: Set [ 1, 2 ], 3: Error: no error! }
コピー後の配列内オブジェクトに変更を加えても、コピー前のオブジェトに影響しません。
新規でオブジェクトが作成され、それぞれの元オブジェクトが持っていた値がコピーされたのです。
structuredClone()の制限
structuredClone()はいくつか制限があります。
関数オブジェクトはコピーできない
structuredClone()は関数オブジェクトをコピーできません。
エラーがスローされます。
const originalObj = {
func:function(){},
};
const copyObj = structuredClone(originalObj);
// Uncaught DOMException: Function object could not be cloned.
つまり、メソッドが含まれている可能性があるときは、structuredClone()を使用できません。
プライベートフィールドはコピーできない
class構文のプライベートフィールドはコピーできません。
const classA = class {
value1= 'abc';
#value2 = 1000;
};
const originalObj = new classA();
const copyObj = structuredClone(originalObj);
console.log( originalObj );
// 結果: { value1: "abc", #value2: 1000 }
console.log( copyObj );
// 結果: { value1: "abc" }
そもそもメソッドがコピーできないということは、constructor()もコピーできません。
class構文を使う意味がないですね。
プロトタイプチェーンはコピーできない
プロトタイプチェーンもコピーしてくれません。
// コンストラクター関数の定義
const constructorfunc = function(){
this.value=1;
};
constructorfunc.prototype={
func: function(){ return this.value; }
}
const originalObj = new constructorfunc();
const copyObj = structuredClone(originalObj);
console.log( originalObj.func() );
// 結果: 1
console.log( copyObj.func() );
// 結果: TypeError: copyObj.func is not a function
プロトタイプチェーンがコピーされていないので、copyObj.func の値が undefined になり、undefinedを()で実行しようとしてエラーになります。
なお、コピー後のプロトタイプチェーンは、規定値のObject.prototypeを参照しています。
// プロトタイプチェーンを取得して Object.prototype と比較
console.log( Object.getPrototypeOf(copyObj) === Object.prototype );
// 結果: true
セッターやゲッターはコピーできない
セッターやゲッターは削除され、その時点での値でプロパティが作成されます。
const originalObj = {
_value:1,
set value( v ){ this._value = v; },
get value( ){ return this._value; },
};
const copyObj = structuredClone(originalObj);
console.log( originalObj );
// { _value: 1, value: [Setter] }
console.log( copyObj );
// { _value: 1, value: 1 }
また、プロパティ記述子を変更している場合は、変更分が無効になります。
他にも条件がありますが、structuredClone()はプロパティ値のみのオブジェクトに使用した方がよさそうです。
循環参照の扱い
structuredClone()は、プロパティ値の循環参照にも対応しています。
const originalObj = { obj:{}};
originalObj.obj.obj = originalObj; // 循環参照の作成
const copyObj = structuredClone(originalObj);
console.log( originalObj.obj.obj === originalObj );
// 結果: true
console.log( copyObj.obj.obj === copyObj );
// 結果: true
structuredClone()の第二引数について
structuredClone()の第二引数は、元となるオブジェクトの内容をコピー先に転送して、元となるオブジェクトの内容をクリアします。
ただし、元となるオブジェクトに指定できるのは、転送可能オブジェクト(Transferable objects)のみという制限があります。
第二引数は、次の形式で指定します。
{ transfer:[ 転送可能オブジェクト,転送可能オブジェクト,... ] }
転送可能オブジェクトは、主にArrayBufferを指します。
これはJavaScriptの組み込みオブジェクトですね。
その他にWebAPI等は、内部に[[Detached]] という名前のスロットを持っているものが、転送可能オブジェクトです。
一部ですが次のようなものがあります。
structuredClone()の第二引数で転送可能オブジェクトオブジェクトは、コピー先にセットされた後、初期化されたオブジェクトがコピー元にセットされます。
const originalObj = {
value1 : 100,
obj1: {
u8Array:new Uint8Array(10),
}
};
const copyObj = structuredClone(originalObj
,{ transfer : [ originalObj.obj1.u8Array.buffer ] });
console.log( originalObj );
// { value1: 100, obj1: { u8Array: Uint8Array(0) [] } }
console.log( copyObj );
// {
// value1: 100,
// obj1: {
// u8Array: Uint8Array(10) [
// 0, 0, 0, 0, 0,
// 0, 0, 0, 0, 0
// ]
// }
// }
更新日:2023/10/05
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