【JavaScript】 forループとiカウンター変数の秘密
更新日:2021/01/20
余談:カウンターにiを使うのはなぜ?
JavaScriptでforループの解説をしているテキスト等には、例として次のようなコードが掲載されていることが多いです。
for( let i = 0 ; i < 10 ; i++ ) {
// …繰り返し処理
}
「ほう、そうなんだ」と解説を読み進めるわけですが、一部の細かいことを気にしちゃう系の人はこう思うはずです。
「なんでカウンター変数にiを使っているの?」
そうなんです。
多くの解説記事やサンプルプログラム、はては実コードまで、みんなiを使っています。
僕も一時期、『変数名には意味があるものを使用するべきだ』という意見を聞いて、stepとかcounterとか使っていましたが、「なんで企業コーディング規約に縛られているわけでもないのに、めんどくさいことしてるんだろう」と思って、いまだにiを使用しています。
僕は今から20年以上前にNECのPC9801というパソコンとボーランド社のTurbo CというCコンパイラをバイトして購入して、毎日C言語で遊んでいました。
懐かしい思い出です。
そしてその頃は既に、for分のカウンターはiが一般的に使用されていたのです。
僕も何も疑問に思わずにiを使用するわけです。
そして血肉となってしみ込んだ結果、無意識のうちにiを使用するようになったわけです。
同じ人多いのではないでしょうか?
そんな僕らが後輩たちにプログラミング言語を教えたり、書籍やWeb記事にコードを掲載するときもiを使用します。
教えられたり記事を見た人は疑問もなく受け入れ、後世へと伝えられていくのです。
今気が付きましたが、forループでiを使うのは、既に文化になっているのですね。
仕方がないことのようです。
ここまでは余談の余談でした。
そもそも、どうしてiが使用されていたのかという疑問の答えになっていません。
調べてみると次の記事がヒットしました。
■なぜループカウンタ変数のほとんどに “i”が使用されるのか?(外部記事)
始まりはFORTRANというプログラミング言語で、この言語では変数名は一文字だけしか使用できなくて、そのうち整数をあらわすものはI~Nの6個のみだったんだそうです。
FORTRANにはfor文がないようですが、FORTRANを学んだ人が他言語を利用するようになり、今までの癖で変数名にiを使用していたのが、後々まで広まってしまったのが現状かもしれません。
forループとiカウンターとクロージャ
余談が長すぎました。
本題です。
JavaScriptは関数の中で関数を定義できる不思議ちゃんな言語です。
そしてforループ内で関数を定義し、それを外部に持ち出すとき少し注意が必要です。
letのforループ
次のコードを見てください。
const func = [];
for( let i = 0 ; i < 5 ; i ++ ){
func.push( ()=>{
console.log( i );
});
}
func[0](); // 0
func[1](); // 1
func[2](); // 2
func[3](); // 3
func[4](); // 4
forループ内でアロー関数を定義し、それを配列に格納しています。
つまり、forループ内で関数を定義し、それを外部に持ち出しています。
持ちだした関数はクロージャを形成しています。
実行すると、定義された時点でのカウンター変数iの値をコンソールに出力します。
感覚的には当たり前の動作です。
varのforループ
上のコードを少し書き換えてみます。
const func = [];
for( var i = 0 ; i < 5 ; i ++ ){
func.push( ()=>{
console.log( i );
});
}
func[0](); // 5
func[1](); // 5
func[2](); // 5
func[3](); // 5
func[4](); // 5
カウンター変数iの定義をletからvarに変更しました。
letとvarの違いについては、ここでは振れないので次のページを見てください。
■【JavaScript】 適当に使ってた!変数宣言var/let/constの使い分け
関数を実行すると、全て5と出力されてしまいました。
実はvarは関数スコープなので、関数内で一つしか定義できません。
そのため次のようなコードと同等となります。
var i;
for( i = 0 ; i < 5 ; i ++ ){
func.push( ()=>{
console.log( i );
});
}
forループ終了時点で i は 5 になっています。
そのためfunc配列内の関数を実行すると、全て5と表示されます。
letでカウンター変数iが保持される理由
一方letはブロックスコープで定義されます。
そしてforで定義したカウンター変数iは、後に続くブロック({ })内で個別に評価されます。
iの値 | コードイメージ |
---|---|
0 | {
let i = 0;
func.push( ()=>{
console.log( i );
});
}
|
1 | {
let i = 1;
func.push( ()=>{
console.log( i );
});
}
|
・・・ | ・・・ |
または、次のように関数が呼ばれているイメージでもいいかもしれません。
for( let i = 0 ; i < 5 ; i ++ ) (function( i ){
func.push( ()=>{
console.log( i );
});
})( i );
変数iが個別にクロージャの環境レコードに取り込まれるので、実行時の値を保持できているわけです。
上のコード、よくわからないという人は次のページを読んでみてください。
■【JavaScript】 即時関数の挙動について調べてみた
varは使用しない
古いバージョンのJavaScriptにはletが存在せず、varのみでした。
そのため、ここで紹介したletでの結果を得るために、いろいろなテクニックが考案されました。
今でもネットで検索すると出てきます。
そして、それを読んだ初心者がletで定義したときも同じ結果になると勘違いして、混乱します。
というか、僕は混乱しました。
letを使用するば全く気にしなくていいテクニックです。
そもそもvarが使いにくいということでletがJavaScriptに追加された経緯があります。
今ではvarの使用を推奨していない人が多いです。
僕もあまりおススメしません。
更新日:2021/01/20
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