【PHP】小数の指定桁数で四捨五入・切り捨て・切り上げする方法
更新日:2023/03/24
PHPで小数の桁数を指定して、四捨五入や切り捨て、切り上げをおこなう方法を紹介します。
簡単そうな気がしますが、意外と難しいですよ。
小数の指定桁数で四捨五入する方法
指定桁数で四捨五入するときは、round()を使用します。
round( 値, 桁数 = 0 , モード = PHP_ROUND_HALF_UP)
桁数が0のとき、小数第一位が四捨五入されて、整数が返ります。
1のときは、小数第二位が四捨五入されて、小数第一位までの値が返ります。
使用例
$value = 12.3456;
echo round( $value , 1 )."\n"; // 12.3
echo round( $value , 2 )."\n"; // 12.35
モードは丸め方を指定します。
モード | 端数5の時の動作 | 例 |
---|---|---|
PHP_ROUND_HALF_UP | ゼロから離れる方向に丸める | 2.35 → 2.4 、 -2.35 → -2.4 |
PHP_ROUND_HALF_DOWN | もっとも近い偶数に丸める | 2.35 → 2.3 、 -2.35 → -2.3 |
PHP_ROUND_HALF_EVEN | ゼロに近づく方向に丸める | 2.25 → 2.2 、 -2.25 → -2.2 2.35 → 2.4 、 -2.35 → -2.4 |
PHP_ROUND_HALF_ODD | ゼロに近づく方向に丸める | 2.25 → 2.3 、 -2.25 → -2.3 2.35 → 2.3 、 -2.35 → -2.3 |
四捨五入のときはPHP_ROUND_HALF_UPで良さそうですね。
これは規定値なので、省略できます。
小数の指定桁数で切り捨てる方法
小数を切り捨てる関数は、floor()です。
次のような、構文になっています。
floor( 値 )
桁数の指定ができないので、指定桁数までを整数部分まで移動してfloor()で小数を切り捨てた後、元の桁数に戻します。
ただしfloor()は、指定した数値よりも小さい方向に丸めます。
そのため、マイナス値を指定すると-1を加算して結果になってしまいます。
-2.5 → -2になってほしい → 結果は-3
そこで、マイナス値はプラス値に変換した後に切り捨てを行い、最後に-1を掛けます。
以上をコードにすると、次のようになります。
function round_down($value,$number_of_digits)
{
$sign = $value >= 0 ? 1 : -1;
$multiple1 = 10 ** ($number_of_digits+1); // 10 の$number_of_digits+1乗
$multiple2 = 10 ** ($number_of_digits); // 10 の$number_of_digits乗
return floor( (abs($value) * $multiple1 ) / 10 ) / $multiple2 * $sign;
}
abs()は、符号を取って絶対値を返す関数です。
プラス値はプラス値のままで、マイナス値はプラス値で返すということです。
上記のコードをよく見ると、floor()の中で、余計に10倍したあと10分の一しています。
しかもn乗計算を2回もしています。少し考えれば一回で済むはずです。
これらは、一応ですが誤差対策です。
詳しくは、このページの誤差対策についてで解説しています。
作成した関数round_down()は、次のように使用します。
$value1 = 2.345;
$value2 = -2.345;
echo round_down( $value1 , 0 )."\n"; // 2
echo round_down( $value2 , 0 )."\n"; // -2
echo round_down( $value1 , 2 )."\n"; // 2.34
echo round_down( $value2 , 2 )."\n"; // -2.34
小数の指定桁数で切り上げる方法
小数を切り上げる関数は、ceil()です。
次のような、構文になっています。
ceil( 値 )
こちらも、floor()と同じような問題があります。
問題を加味すると、次のようなコードになります。
function round_up($value,$number_of_digits)
{
$sign = $value >= 0 ? 1 : -1;
$multiple = 10 ** $number_of_digits; // 10 の$number_of_digits乗
return ceil( abs($value) * $multiple ) / $multiple * $sign;
}
小数の指定桁数で切り捨てる方法のコードを、floor()からceil()に変更しただけです。
作成した関数round_up()は、次のように使用します。
$value1 = 2.345;
$value2 = -2.345;
echo round_up( $value1 , 0 )."\n"; // 3
echo round_up( $value2 , 0 )."\n"; // -3
echo round_up( $value1 , 2 )."\n"; // 2.35
echo round_up( $value2 , 2 )."\n"; // -2.35
誤差対策について
PHPの数値データは浮動小数点形式で扱われています。
この形式は小数を扱うのが苦手で、実際の数値と誤差があります。
その結果、様々な問題に直面します。
次の計算式は、数値を10倍して小数を切り捨てた後、10分の一にしています。
$f = floor( (0.1 + 0.7) * 10 ) / 10;
echo $f."\n"; // 0.7
結果は0.8になるはずですが、0.7になってしまいました。
理由は0.1と0.7を合計した結果を小数第40位まで確認してみるとわかります。
var_dump(sprintf('%.40f', 0.1 + 0.7))."\n"; // string(42) "0.7999999999999999333866185224906075745821"
var_dump(sprintf('%.40f', (0.1 + 0.7)*10))."\n"; // string(42) "7.9999999999999991118215802998747676610947"
0.8ではなくて、0.79999... になっています。
これを10倍すると7.9999... なので小数以下を切り捨てると7になります。
困ったものです。
しかし、100倍すると80になります。
var_dump(sprintf('%.40f', (0.1 + 0.7)*100))."\n"; // string(43) "80.0000000000000000000000000000000000000000"
この状態から10分の一すれば、最終的に0.8という結果を得られます。
ただし、10 * 10 倍はNGです。
var_dump(sprintf('%.40f', (0.1 + 0.7)*10*10))."\n"; // string(43) "79.9999999999999857891452847979962825775146"
以上から、最初のコードを次のように変更すると想定した結果を求めることができます。
$f = floor( ( (0.1 + 0.7) * 100 / 10 ) ) / 10;
echo $f."\n";
var_dump(sprintf('%.40f', $f))."\n";
なお、0.1 + 0.7のケースのみ確認しています。
そのため、たまたま上手くいっただけかもしれません。
気になる人は、浮動小数点について調べてください。
最後に
floor()とceil()は桁数を指定できないばかりか、マイナス値の結果がイメージしたものと異なります。
その点を加味する必要がありますが、なかなか気が付かないですね。
さらに、誤差の問題まであります。
めんどくさいですね。
なお、本来のfloor()とceil()の結果が必要な時は、abs()と符号の掛け算を除去してください。
更新日:2023/03/24
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