【Node.js】 コンソール(CLI)で進捗をプログレスバー表示してみる
更新日:2021/06/09
Node.jsの実行結果をコンソールに出力するとき、時間のかかる処理の進捗をプログレスバーで表現するのは常套手段と言えます。
そこで今回は、Node.jsでプログレスバー表示する方法をお伝えします。
単純なプログレスバー
まずは、現在のカーソル位置に進捗状況を表示する単純なプログレスバーを作成してみます。
完成イメージを作成してみたので、実行してみてください。
プログレスバーを表示するコード
次のコードは、プログレスバーを文字列で作成してコンソール出力しています。
プログレスバーを表示する関数
// maxCount : 進捗100%のときの数値
// progressLength : 進捗(■と□)の合計数
// title : 進捗の前に表示するタイトル
const simpleProgress = (maxCount,progressLength,title)=>{
let nowCount = 0;
return addCount =>{
nowCount += addCount;
const per = Math.min( nowCount / maxCount , 1.0 );
const count = nowCount <= 0 ? 0 : Math.floor(per * progressLength );
process.stdout.write( `${ title }【${
"■".repeat( count ) + "□".repeat( progressLength - count)
}】${ Math.floor(per * 100) }%\r` );
return per >= 1;
};
};
simpleProgress関数を実行すると、nowCount変数をプライベートにもつクロージャ的な関数を返します。
返された関数を呼び出すと、引数がnowCountに加算されます。
そしてnowCountを元に進捗率perを計算します。
このときperが1以上になると進捗が100%を超えてしまうので、Math.min()で最大値を1.0に限定しています。
そして、ここでは■の数を計算して、プログレスバーを文字列で作成しています。
次に作成した文字列をコンソール出力しています。
コンソール出力は通常はconsole.log()を使用しますが、これは最後に改行を表すエスケープシーケンス"\n"を付加します。
今回は改行されると不都合なので、process.stdout.write()を使用します。
こちらは文字列をそのまま出力するので、勝手に改行しません。
出力した文字列で重要なのが、最後の"\r"です。
これはCR(キャリッジリターン)を表すエスケープシーケンスです。
この文字コンソールは、『カーソルの位置を行の先頭に移動させる』という意味として判断して、その通りに実行します。
ただし、カーソルが移動するだけで、既存の文字はそのまま残ります。
この状態で再度文字を出力すると、既存の文字が上書きされます。
ただし出力した文字が既存の文字より短い場合、その分の既存文字が残ります。
必要なら、次のエスケープシーケンスのどれかを使って既存の文字を削除してください。
範囲 | エスケープシーケンス |
---|---|
カーソルから行末まで削除 | \x1b[0K |
カーソルから行頭まで削除 | \x1b[1K |
行全体を削除 | \x1b[2K |
今回は、同じ文字数なので削除していません。
削除しない分だけ高速で処理されます。
備考:回転で進捗を表示するコード
少し主題から外れますが、上記のコードを回転で進捗表示するように変更してみます。
こちらも完成イメージを掲載しておきます。
コードは進捗の組み立てを変更しているだけで、要点は同じです。
回転で進捗を表示する関数
const simpleProgress = (maxCount,progressLength,title)=>{
let nowCount = 0;
let dispCount = 0;
const dispChar = [ "|","/","―","\"];
return addCount =>{
nowCount += addCount;
const per = nowCount / maxCount ;
process.stdout.write( `${ title } ${ dispChar[dispCount] } ... ${ Math.floor(per * 100) }%\r`);
dispCount = ++dispCount >= dispChar.length ? 0 : dispCount;
return per >= 1;
};
};
引数progressLengthが使用されていませんが、最初のsimpleProgress関数をそのまま置き換えているので残してあります。
お好みに合わせて、いろいろ変更してみてください。
プログレスバーの進捗を管理するコード
作成したsimpleProgress関数を使って、プログレスバー表示をおこなってみます。
今回は、タイマーを使って処理をおこなっている雰囲気を演出しています。
プログレスバーの進捗を管理するコード
// カーソルの非表示・終了時のカーソル復帰
process.stdout.write( "\x1b[?25l" );
process.on("exit", ()=>process.stdout.write( "\x1b[?25h" ));
process.on("SIGINT", ()=>process.exit(0));
const progress = simpleProgress( 500 , 20 ,"進捗状況" );
console.log( "処理を開始しました。" );
progress(0);
const timerFunc = ()=>{
const step = Math.floor(Math.random() * 20) + 10;
if( progress(step) === true ) {
process.stdout.write("\n終了しました");
return;
}
setTimeout( timerFunc , 100 );
};
setTimeout( timerFunc , 100 );
最初の3行は、コンソール上のカーソル非表示と、プログラム終了時にカーソルを表示する処理をおこなっています。
カーソルの表示・非表示は次のページを参考にしてみてください。
■【Node.js】 コンソール(CLI)のカーソル表示・非表示切り替える
後はsetTimeoutで定期的にプログレスバーを進めているだけです。
複数のプログレスバーを同時に表示する
今度は複数のプログレスバーを連携させてみます。
まずは、完成イメージを実行してみてください。
サブ処理が100%になる毎にメイン処理の進捗が進むようなイメージで、今回は作成してみます。
基本的な仕組み
まずは、基本的な仕組みを解説します。
- プログレスバーの位置(行数)を記憶しておく
- カーソルを常に、最終行+1行目に保持する
- プログレスバー表示時
- カーソルをプログレスバーの行まで移動する
- プログレスバーを出力する
- カーソルを最終行+1行目に戻す
つまり、カーソルを常に最終行+1行目に置いておき、プログレスバー表示するときだけバーの位置にカーソルを移動させ、バーを表示させたら元の位置に戻します。
カーソルの移動は、次のエスケープシーケンスから選択して使用します。
方向 | エスケープシーケンス |
---|---|
上に移動 | \x1b[nA |
上に移動して行頭に移動 | \x1b[nF |
下に移動 | \x1b[nB |
下に移動して行頭に移動 | \x1b[nE |
上の表でnは移動させたい行数です。
複数のプログレスバーを管理する関数コード
では、実際のコードです。
複数のプログレスバーを管理する関数
const multiProgress = ()=>{
let endLine = 0;
const progressMap = new WeakMap();
const progressBody = function (){};
progressBody.prototype={
addCount: function(count){ return progressText( count , this )},
reset: function() {
progressText( 0 , this ,true);
return this;
}
};
const createProgress = ( maxCount,progressLength , label )=>{
const p = new progressBody();
progressMap.set( p , {
maxCount:maxCount,progressLength:progressLength,label:label,
nowCount:0,line:endLine,
});
process.stdout.write( "\n" );
endLine++;
return p.reset();
};
const progressText = (addCount,progressObj,resetFlg = false)=>{
const p = progressMap.get( progressObj );
const lineUp = endLine - p.line; // カーソルの移動量
const nowCount = resetFlg ? (p.nowCount = 0 ) : ( p.nowCount += addCount );
const per = Math.min( nowCount / p.maxCount , 1.0 );
const dispCount = nowCount <= 0 ? 0 : Math.floor(per * p.progressLength );
process.stdout.write( `\x1b[${ lineUp }F` ); // カーソルUP
if( resetFlg ) process.stdout.write( "\x1b[2K" ); // 行消去
process.stdout.write( `${ p.label }【${
"■".repeat( dispCount ) + "□".repeat( Math.max(p.progressLength - dispCount,0))
}】${ Math.floor(per * 100) }%\r` );
process.stdout.write( `\x1b[${ lineUp }E` ); // カーソルDOWN
return per >= 1;
};
return {
writeMessage:message => {
process.stdout.write( message );process.stdout.write( "\n" );
endLine ++;
},
addProgress:( maxCount,progressLength , label )=>createProgress(maxCount,progressLength , label),
};
};
今回は出力した行数を把握するために、プログレスバー以外の行も関数multiProgressを経由して表示しています。
関数multiProgressを実行すると、最終付近でreturnしているオブジェクトが返ります。
そのオブジェクトのaddProgressメソッドを実行する度に、プログレスバーを管理するためのオブジェクトprogressBodyを取得することができます。
そしてprogressBodyのaddCountを実行すると、プログレスバーの進捗が進みます。
WeakMap()は、オブジェクトをキーとしてデータを格納しておけるJavaScriptの組み込みオブジェクトです。
ここでは、プログレスバーの情報(進捗100%のときの数値やタイトル、進捗数など)を保持しています。
WeakMapについては、次のページをみてください。
■【JavaScript】 WeakMapでオブジェクトとデータの関連付けをおこなう
ちなみに関数内で、通常の関数定義(function)とアロー関数での定義が混在しているのは理由があります。
基本的にはアロー関数を使用していますが、アロー関数はthisが使用できません。
そのため、thisを使いたいときだけ通常の関数定義を使用しています。
アロー関数については、次のページを読んでみてください。
■【JavaScript】 アロー関数は何者!?かっこいいだけじゃない!
プログレスバーの進捗を管理するコード
作成したmultiProgress関数を使って、プログレスバー表示をおこなってみます。
やっていることは、単純なプログレスバーのときと同じです。
プログレスバーの進捗を管理するコード
process.stdout.write( "\x1b[?25l" );
process.on("exit", ()=>process.stdout.write( "\x1b[?25h" ));
process.on("SIGINT", ()=>process.exit(0));
const progress = multiProgress( );
progress.writeMessage( "処理を開始しました。" );
const progressMain = progress.addProgress( 500 , 15 , "メイン処理:" );
progress.writeMessage( "サブの進捗状況" );
const progressSub = progress.addProgress( 500 , 20 , "サブ処理:" );
const timerFunc = ()=>{
const step = Math.floor(Math.random() * 20) + 10;
if( progressSub.addCount(step) === true ) {
const stepMain = Math.floor(Math.random() * 300) + 100;
if( progressMain.addCount(stepMain) === true ) {
process.stdout.write("\n終了しました");
return ;
}
progressSub.reset();
}
setTimeout( timerFunc , 100 );
};
setTimeout( timerFunc , 100 );
更新日:2021/06/09
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